Robert’s Rulesによる会議の進め方

北米での技術職と英語

公式な会議では、Robert’ Rulesと呼ばれる方式で議事が進むことがあります。

各種委員会等の公式な会議や、身近なところではマンションの住人による年次総会(Annual General Meeting, AGM)や筆者の所属するジャズバンドの年次総会もこの方式です。

初めてこの方式の会議にメンバーとして参加するととまどいます。議長の言っていることがわからなかったり、発言のタイミングを間違えてルール違反を犯し議長に注意されることもあるでしょう。

筆者が米国機械学会(American Society of Mechanical Engineerg=ASME)の小委員会でChairを務める際、実際に筆者が使っているscriptを紹介しながら、議事の進行方法やルールを解説します。

Agendaの構成の例

Call to order
Attendance、Membership
Adoption of Agenda
Approval of Minutes
Announcements
Action Items
New Business
Next Meeting
Adjournment

Agendaとは議題予定のことです。細部の違いはあるとは思いますが、おおむね上記のような構成になっています。

以下、各項目に沿って詳しく説明していきます。

基本ルール

会議全体を通しての基本ルールを紹介します。日本の非公式な会議とは相当違いますので、ルール違反を犯さないように気をつけてください。

発言は議長の許可を得てからすること。
発言を希望するときは挙手などルールにしたがって発言したい意思を表し、Chairの指名・許可があってから発言すること。たとえ会議が沈黙しているときでも勝手に発言はしてはいけません。

他者の発言中は発言しないこと。他者の発言をさえぎらないこと。
公式な会議ではなくても、北米では他者の発言をさえぎるのはrudeとされています。日本人はよくやりがちですが、さえぎられそうになった話者は”I’m speaking!”とか”Let me finish!”と言って不快な表情を浮かべます。

意見が対立しても発言者へのrespectは失わないこと。
これも上と同じです。respectを忘れ、他の参加者の前でやり込めたりバカにするような発言をしたりすれば、あなたが信用を失います。日本人の社内会議などでは上司が部下にそういう発言をすることも多いでしょうが北米ではNGです。大人数の前で恥をかかせるようなことになれば、あとでクレームを受けることもあります。

carryしたものは蒸し返さないこと。
Chairが”Motion carries.”を宣言したらその動議の議論は終了です。蒸し返してはいけません。後で新たに問題が見つかり再議論の必要があるなら、New Businessとして次の会議で扱ってもらうようにします。

Call to Order

会議の開会を宣言する部分です。Chairが次のように宣言します。以下、スクリプトは筆者が使用しているものです。

Chair
Chair

It’s 9:30 AM.

Let me call a meeting to order.

This is XXX meeting.

Attendance, Membership

会議メンバーやオブザーバの自己紹介などです。

まず最初にChairが次のように自己紹介をします。

Chair
Chair

My name is Masa Ishikawa, Marstein Engineering, a Chair of XXX.

Let’s start with round introductions.

Ms.Yamada, please.

Round Introductionとは、会議メンバーがChairの指示にしたがって一人ずつ自己紹介をする場面です。自分の名前と所属を言うのが典型的です。

Members
Members

Hanako Yamada, ABC Company

Alternate
Alternate

Taro Takahashi, sitting in Mr.Satou.

特に気の利いたことを言う必要はありません。座っている順に氏名と所属だけを言います。

sitting in XXXとは、正規メンバーの代理として出席している場合にこのように言います。

Chairはオブザーバ参加者にもround introductionを促すこともあります。テーブルについている正規メンバーと同様に名前と所属だけを言います。

続いて、必要があれば出席者の人数の充足を確認し、足りていれば以下のように宣言します。公式な会議では、投票権のある正規メンバーのうち一定数が参加しなければ成り立たない場合があります。そのような場合は会議はキャンセルになる可能性があります。

Chair
Chair

We have 15 members today, so we have a quoram.

Round Introductionが終わると筆者は以下のように付け足し、オブザーバも含めた参加者に議論への参加を促します。しかしこのコメントは必ずしも必要ありません。

Chair
Chair

Thank you for your attendance.

I would encourage all attendees, including visitors, to participate in discussion.

However, a voting is limited to members only.

オブザーバはobserversではなくvisitorsと呼んでmembersと区別しています。オブザーバがいなければ関係ありません。

続いて、必要に応じてmembershipについて言及します。新規メンバー募集のお知らせや新規加入メンバーの紹介などをすることがあります。

Adoption of Agenda

議題の採択です。事前に配付されていることが多いので筆者は以下のように言います。

Chair
Chair

Let’s move on to the next item. Adoption of Agenda.

Did you have a chance to take a look?

Any additions, corrections?

メンバーやオブザーバから議題の追加予定や変更希望があればここで聞きます。変更がなければ以下のように進めます。

Chair
Chair

If not, I would like to entertain a motion to adopt the agenda as is.

Chairはmotion(動議)を出すことができないので、議題の採択の可否をメンバーに問います。こういうときentertainという単語を使うのは面白いところですね。

もしAgendaに修正や追加があれば以下のようになります。

Chair
Chair

I would like to entertain a motion to adopt the agenda with a correction (an addition) of XXX.

メンバーは以下のように応答します。

Member 1
Member 1

I move to adopt the agenda as is.

Member 2
Member 2

So move.

メンバーが「議題予定を採択する動議を提出します」と言っています。続けて別のメンバーが次のように反応します。

Member 3
Member 3

Second.

「同意します」と言っています。

Chairはsecondを聞いたら次のように言います。Secondを聞かないうちはDiscussionへ進めないので、もしsecondの声が出ないようなら”any seconds?“のように促します。そしてsecondが出たら以下のように進みます。

Chair
Chair

Moved and seconded. Discussion?

Discussionと言ったあとメンバーから特に挙手等がなければ、次のように進めます。

Chair
Chair

Hearing none, let me call a question.

All those in favor, signify by saying aye.

賛成の方はaye(アイ)と言ってください、と促します。そうすると多くの場合は全員がayeと言います。signify by saying ayeはsay ayeだけでもいいです。

誰がayeと言ったかは細かい確認は不要です。ただし確認のため次のように付け足します。

Chair
Chair

Those opposed? Abstention? Not voting?

これらは、動議に反対するかどうか、投票を保留するか、投票を辞退するか、と尋ねています。opposedはagainstと言うこともあります。該当するメンバーがいれば手を挙げてくれるのでその名前を議事録に残します。場合によってはopposeやabstainの理由を尋ねることもあります。

満場一致であれば次のように宣言します。

Chair
Chair

That’s unanimous. Motion carries.

We have an agenda.

満場一致で動議が採択されたことを宣言し、以降はこのAgendaに沿って進めることができます。

満場一致でなかった場合でも、あらかじめ決められた賛成多数に達していれば次のように宣言して、以降はこのAgendaに沿って進めることができます。

Chair
Chair

Motion passes with one abstention.

We have an agenda.

Motion carries.とMotion passes.は同じ意味です。

Annoucement

このセクションは何か特別なアナウンスがあるときに使われます。会議メンバーの冠婚葬祭が含まれることもあります。

(元)メンバーが亡くなった時などは黙とうの時間を取ることがあります。Chairは次のように言います。

Chair
Chair

We lost our great friend.

I would like to ask you to have a moment of silence, please.

そうすると参加者は全員が下を向いて会話を止めます。黙とうは10秒ぐらいでいいでしょう。10秒ほど経過したら”Thank you.”と言って黙とうを解除します。

Approval of Minutes

続いて前回の議事録の承認に移ります。

議事録は会議終了後に送られてきますが、次回の会議で承認されるまでは正式なものではありません。この会議で承認されて初めて公式なものとなります。

Agendaと同じように事前にメンバーに配付されていることが多いので、筆者の場合はAdoption of Agendaと全く同じ要領で進めます。

もし修正などがある場合はその場で修正し、次のように採否を問います。

Chair
Chair

I would like to entertain the motion to approve the minutes with a correction of XXX.

以下はAdoption of Agendaと同様です。

会議参加メンバーの中には前回の会議に出ていなかった人もいるかもしれません。そういう人たちは次のように言ってくることがあります。

Member
Member

I abstain because I was not present at the last meeting.

このように言われたらそれを認め、abstainとしてカウントします。

Action Items

会議の中心となるのはこのセクションと次のセクションです。このセクションでは前回の会議から持ち越しになっている議題を扱います。

基本の流れ

各Action Itemについて、以下のような流れで議論が進みます。

Chair
Chair

Let’s move on to the next item.

The next item is XXX.

Ms.Yamada, this is your item.

このように導入して、担当者のMs.Yamadaに説明を促します。

Ms.Yamada
Ms.Yamada

Thank you.

This item is …

担当者はこのように説明をします。そして質疑応答に入りますが、説明中にメンバーから挙手があることもあります。このとき発言を許可するかどうかはChairが決めます。勝手に話し始めるようなことがあれば、必要に応じてたとえば以下のように注意します。

Chair
Chair

Excuse me, Mr.XXX, I appreciate you raise your hand when you want to speak. Once I recognize you, you are allowed to speak. Thank you.

このあたりはChairが空気を読みながらしっかりコントロールしなくてはなりません。無法状態になると誰もが勝手に発言をはじめてしまい会議がグダグダになります。ひどい場合はChairが少し強めに言ってもかまいません。

できれば担当者が説明している途中での質疑は避けるのが賢明だと思います。その場合はChairは挙手があっても指名する必要はありません。担当者の説明中に質疑をはさむなというChairの意思表示です。

そして多くの場合は担当者が以下のように発言します。ここでは会議場のスクリーンに映し出された本提案を採択することを動議として提出しています。

Ms.Yamada
Ms.Yamada

I move to accept the proposal as shown on the screen.

他にも次のような言い方があります。

Ms.Yamada
Ms.Yamada

My motion here is to accept the proposal. With that, I so move.

これに対して別のメンバーが次のように言います。たいていは挙手は不要です。複数の人が同時に言うこともあります。

Member 1
Member 1

Second.

Member 2
Member 2

I second it.

賛同しますという意味ですが、動議に賛同する場合と、動議を議論することに賛同する場合があります。特に後者の場合はSeconder(secondと言った人)が必ずしも動議そのものに賛同するとは限らないということです。

なおsecondの声を発する順序は何番目であってもsecondです。thirdやfourthとは言いません。議事進行のためにはSeconderが最低1人いればいいので、あまり遅れたタイミングでsecondと言わないようにしましょう。

ChairはSeconderがいることを確認してから議論に入ります。SeconderがいないときはAny second?のように促します。会議によってはSeconderの氏名が記録されることもあります。

Chairは次のように続けます。

Chair
Chair

Moved and seconded.

Discussion.

この発言で、提出された動議が正式に議論されることとなります。

会議メンバーから挙手があるので、Chairは挙手者の中から1名を指名して発言を許可します。

発言を許可する順序にとくに決まりはありません。先に手を挙げた人が優先、あるいは会議の正式メンバーが優先など、会議によって暗黙の了解があるかもしれません。筆者は先に手を挙げた人を優先しています。

採決

議論が出尽くしたと感じたら、Chairは以下のように進めます。

Chair
Chair

Any other questions and comments?

Hearing none. Let me call a question.

All those in favour, signify by saying aye.

議論が長引いた場合には、Let me call a questionの前に、The motion here is…のように動議を再確認することもあります。

そして賛否を尋ねると、賛成のメンバーはayeと声を上げます。場合によってはayeの代わりにraise your handのように言うこともあります。賛成者の氏名を記録したり人数を正確に把握する必要があるときなどです。

このように発声で採決することをvoice voteといいます。

賛成を確認したら次のように続けます。

Chair
Chair

Those opposed?

反対者がここで手を上げます。反対者の人数は記録する必要があるので、挙手となります。また会議によっては反対者の氏名を記録したり、反対理由を文書であとで送付することが求められることもあります。

Chairは続けます。

Chair
Chair

Abstention, not voting?

Abstentionとは保留ということで、議題に関する予備知識が不十分で賛否の判断ができないときなどに使用されます。こちらも氏名や理由を記録されることがあります。

Not votingはconflict of interestなどの理由で投票を辞退することです。

満場一致で賛成ならChairは以下のように宣言します。

Chair
Chair

That’s unanimous.

Motion carries. Thank you.

Motion passes unanimously.のように言うこともあります。

また反対票やabstention等があっても賛成多数で可決となった場合は次のように宣言します。

Chair
Chair

Motion carries with two negatives and one abstention.

いずれにしても賛成が規定数に達していたらmotion carriesで動議の通過を宣言します。

motionが反対多数の場合

motionはseconderがいたとしても、必ずしも通過するとは限りません。

多くの議論がなされ賛否両論が拮抗している感じのとき、筆者は以下のように発言してmotionを提出した担当者に再考を促します。次のように尋ねます。

Chair
Chair

Ms.Yamada, there seems to be a lot of issues in this motion.

What would you like to do?

Ms.Yamada
Ms.Yamada

I would like to draw my motion and rework.

I’ll come up with the revised proposal at the next meeting.

Chair
Chair

Would Seconder agree with it?

Member 1
Member 1

Yes, I agree.

Chair
Chair

Thank you.

Let’s move on to the next item.

このような流れになればvoice voteによる採決は行わず、次の議題に進みます。

また次のように進むこともあります。

Ms.Yamada
Ms.Yamada

I still want to move to accept the original proposal.

このように言われたら、Chairの判断voice voteに入ります。おそらく賛成が規定数に足りずに否決となるので、次のように宣言します。

Chair
Chair

Motion fails.

Ms.Yamada, what would you like to do?

この宣言で動議は正式に否決となります。そして提案者に次のステップを尋ねます。おそらくreworkして次の会議に再び提出するという流れになります。

motionが議論中にreviseされるとき

動議が最初に提出されseconderが同意するとdiscussionがはじまります。

その議論中に、提案者が動議を変更しようとする場合があります。

Ms.Yamada
Ms.Yamada

I would like to revise my motion.

The modified motion is…

このようにmotionがreviseされたら、Chairは次のように問います。

Chair
Chair

Would Seconder agree with the revised motion?

これに対して、最初の動議のseconderたちはyes/noで答えます。Yesならreviseされた動議でdiscussionを続けます。Noなら最初の動議でdiscussionを続けます。

休憩をはさむ

途中で休憩をはさむときもChairがコントロールします。きりのいいところで次のように宣言します。

Chair
Chair

Let’s take a 10-minute break.

It is 10:30 on my watch. Please come back to the table by 10:40.

必要に応じてコーヒーのサービスの場所やトイレの場所などを案内しますが、これはSecretaryが言うこともあります。

そして休憩が済んだら次のように再開を宣言します。

Chair
Chair

Back to the meeting to order.

The next item is…

人数が多い会議では時間になってもメンバーがなかなか着席してくれないことがあります。そのようなときは上記の宣言を大きい声で強めに言います。多少強引にでもThe next itemと開始しないと休憩がダラダラしてしまいます。

New Items

この会議から新たに議題予定に加わった項目がこのセクションに入ります。Action Itemsと同様に進めます。

Next Meeting

Action ItemsとNew Itemsが終わったら、会議はほぼ終わりです。筆者の場合は次のように言います。

Chair
Chair

That brings us to the end of the agenda.

The next meeting is…

として、次回の会議の日時や場所を確認します。

Adjournment

次回の日程が確認ができたら、Chairは次のように問います。

Chair
Chair

Anything else from anybody?

そして特に何もなければ以下のように問います。

Chair
Chair

Hearing none, I would like to entertain the motion to adjourn.

Member 1
Member 1

So moved.

Member 2
Member 2

Second.

Chair
Chair

Thank you. The meeting is adjourned.

これで会議は正式に閉会、解散となります。

まとめ

海外で活躍するあなたはこのようなRobert’s Rules方式の会議に出席することがあるでしょう。この記事で何がどう進行しているのか、どのタイミングでどんな発言をすればよいのかがおわかりいただけたと思います。

格式を重んじる会議スタイルですので、ルールに従って発言しましょう。

Robert’s Rules方式の会議でChairを任される機会もあるかもしれません。Chairの権限は非常に大きく、discussionをうまくコントロールして会議を成功に導くのがChairの役割なので責任重大です。でもとてもやりがいのある仕事なので、貴重な機会ととらえてください。

応援しています。

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